湿布を貼って

先日,病院へお見舞いに行ったときのことです。

カーテン越しに,看護師さんと患者さんの会話が,聞こえてきました。

患者さんは,お年を召した女性です。
しきりに,湿布を貼ってほしいとお願いしていました。

「そこにはもう湿布貼ってるよ。だから大丈夫だよ」
と答えるのですが,おばあさんは
「あら,そうなの。でも痛いんだもの」
と繰り返していました。

その後また,ナースコールが鳴ったのでしょう。
5分も経たないうちに
今度は,別の看護師さんが病室へ入ってきたのです。

おばあさんは,先程と同じように訴えます。

「湿布はちゃんと貼ってあるよ。大丈夫だよ。
 どこ痛いの?ここ?ああ,ここね。
 でも,だんだん痛み取れるからね。心配しなくていいから。
 あっ,湿布無くなってるんださ。今,持ってきてあげるから
 ちょっと待っててね」

そして,私が病室にいる間は
おばあさんからのナースコールは,もう鳴りませんでした。

一人目の看護師さんが,冷たい言い方をしたとか
そういうことではありません。
普通に対応されていたと,思います。

では,何が違ったのでしょう。

きっと,おばあさんの本当の願いは
「湿布を貼ってほしい」ということではなく
「痛みに対する不安を取り除いてほしい」
ということだったのでは,ないでしょうか。

加えて,二人目の看護師さんは
予備の湿布がなくなっていることにも気付いてくれた。
それもまた,おばあさんにとっては
うれしかったのではないでしょうか。

子どもたちも,自分の気持ち(本音)を
私たちに,うまく伝えられないときがありますよね。

そんな子の気持ちを,あの看護師さんのように
ちゃんと受け入れてあげられる,そんな大人になりたい。

こう思った,出来事でした。

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