どうして勉強するの?

遊びほうけ,いっこうに勉強しない小学生と
その母親との会話です。

母親が「勉強しなさい」と怒鳴っていたところ
息子が
「どうして勉強するの?」
とたずねました。母親は
「勉強すれば,よい学校に行けるのよ」
と言いましたが,息子は
「なぜ,よい学校に行くといいの?」
とさらにたずねます。

「そしたら,大学に行けるじゃないか」
と答えると
「なぜ大学に行くの?」
と,またたずね
「いい大学に行けば,一流企業に勤めることができるでしょ」
と答えれば
「なぜ一流企業がいいの?」
と,またまたたずねるのでした。

「そりゃあ,たくさんお金がもらえるからね」
「なぜたくさんお金がもらえるといいの?」

母親は,そこでぐっと言葉に力を入れて
「そりゃあ,お前,生活が楽だよ」
と,とどめを刺すように実感を込めて諭したのでした。
しかし,息子の問いは終わりません。

未来を見つめるように瞳をキラキラと輝かせながら
「後は?その次は?」
と聞いてきます。
「人生,楽に生きられたら,これに優ることはないのよ。
 その後はない」
と答えますと,息子はじっと考え込んだ後,ポツリと言いました。

「母さん,楽するって言うけど,ぼく,もうすでに
 楽しているけれど・・・」
     〜『掌の中の幸せ』田中 信生 著(潮文社)p86〜


「どうして勉強するの?」
これは,誰しも一度は思い浮かび,もしかしたら一度くらいは
子どもから問われたことがある質問ではないでしょうか。

皆さんなら,なんと答えますか?

「ねえねえ,どうして勉強するの?
 なぜ,勉強しなくちゃならないの?」

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